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ボクとキミのものがたり

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お出かけに誘われたのは、本当に嬉しかった。
だけど『出かけようか。今日は、万年筆の調子が悪い。ボクも外の空気吸わないとね』なんて言い出したカレは 自分の都合ばかり言っていたような気がする。
それに 何故かワタシを猫扱いする。
そう、さっきだって『お出かけ。キミの歩くところを探検しようかな、猫の散歩だ』って。
『どうして、猫?』ってワタシが 聞いても『さあ?ははは』ってごまかされちゃう。
でも、猫扱いも少し気に入っている。カレに髪をくしゃくしゃっと撫でられると、ワタシの気持ちは、猫の背伸びのように だらーんと緩んでしまう。
……ん? ワタシって まだ借りてきた猫なのかなぁ。
カレとは、手を繋いだり、カレの膝に乗っけてもらったり、ときどき食べ物といっしょに指を咥えられるけど、恋人同士の関係には、まだ距離があるみたい。
傍に居ても 邪魔に思われてないみたいだから、それでいいかなって思っていたけど、ちょっと寂しいかもしれない。

今、テーブルを挟んで向かい合っているカレは、笑ったり、ときどき まっすぐワタシを見たりしているけど、ワタシはどんな顔をカレに向けているのかな。少しくらいは、可愛いって思ってくれているのかなぁ。それならば嬉しいけど、きっと可笑しなヤツだって思われているのだろうな。
ワタシのホットオレンジジュースを飲んだり、お菓子出して『あーん』言えば、そのまま食べたり、案外甘えん坊だね。そんなカレにワタシは、ほっと安らいでいる。

作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶