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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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お疲れ様(続・おしゃべりさんのひとり言170)

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お疲れ様



毎朝会社に行くと「おはようございます」とか「おはようさん」とか挨拶しますよね。
退社する時は、「お先に失礼します」「お先で~す」なんて。
それ以外の時って、なんて挨拶しますか?
うちの会社じゃ「お疲れ様」って言うことが多いのかな?

事務所に帰ってきた社員に「お疲れ様!」
先に帰宅する人には、「お疲れ様でした」
休憩室で目が合った相手に「お疲れさん」
階段ですれ違っても「お疲れ」
トイレでかち合った上司にも「お疲れ様です」って言っとけば、気まずい沈黙は回避できる。
「ご苦労様」って声をかけることもあるけど、頻度としては断然「お疲れ様」が多い。

最近の若い人は挨拶がロクにできないっていうか、声が小さいし顔を見ないやつもいる。
『挨拶励行』をテーマに社員間のコミュニケーションを図る運動をしてた時、とりあえず「お疲れ様!」って言っとけって。
この挨拶は万能かと思っていました。

ところがですよ。言い慣れてくると、誰もが「お疲れ様」しか言わなくなってしまったんです。出社時にも、退社時にまで。
仕事中に上司に声をかける時、「お疲れ様です」って言って近寄って行く。ふつうは「ちょっといいですか?」とか相手の様子をうかがわない?
お客様が来社されて、廊下ですれ違った社員が「お疲れ様です」って言ってた。この場合は「いらっしゃいませ」とか「こんにちわ」って言ってほしいのに。
プライベートな内容で電話していても、最後の切る瞬間につい「お疲れ様」って言ってしまう。
メールも書きはじめの挨拶には『○○様 お疲れ様です。△△です』
よくよく考えたら、疲れていない相手に「お疲れ様」っておかしい表現ですね。
元々は相手の労をねぎらった、日本人らしい心配りなんだろうけど、いい慣れてしまうと、気持ちは込められなくなる気がしました。

アメリカで仕事をしていると、こういう決まり文句の挨拶は大抵の場合。「Hi!」が簡単でよく使う。
特に用事がない相手には、まずこう挨拶しとけば問題ない。
「ハロー」より「ハイ」の方が軽くって、そのあと話すことがない場合に使うことが多いみたい。
「ハロ~」って声かけちゃうと、相手は立ち止まってしまうことが多いので。
アメリカ人て気さくで誰にでも話しかけるってイメージないですか?
確かに日本人と比べると、誰にでも声を掛けますよね。街中でも見知らぬ人にまで、すごく元気なフリでコミュニケーションとられます。
でも、本気で声をかけてる人なんていないですよ。
エレベーターの中とかだったら、沈黙を回避するために何か話しかけられることって多いけど、そのドアが開くとあっさり会話を打ち切って出て行かれます。
ニコニコしてテンション高めに会話されているのに、それらはまるでただの演技で、事後はスンとされていますね。
日本人の「お疲れ様」みたいにその場の状況を理解せずに、只々条件反射的に「ハイ」って声かけしてるだけなんだって気付きました。

僕はここ5年くらい登山にハマっていて、年に3~4回中央アルプスとかに登ります。その時に前から来たハイカーさんと互いに声をかけ合ったりするのが登山者の常識です。
その挨拶一言だけで続く会話なんか全くしないのに、「こんにちわ」だけは日に何十回も言います。笑顔で交わすことで元気を維持するんです。
また、バイクのツーリング中に前から近付いて来る反対車線のライダーさんには、片手を挙げて挨拶することが多いんです。何台も連なって走ってるグループと出会うと、親指を立ててナイスサインを送ります。これはバイク乗りの常識です。
バイクに興味ない人からすれば、一瞬すれ違うだけの相手に手を振って挨拶なんて、ちょっと恥ずかしくて出来ないんじゃないですか?
僕は高校の時にこれを体験して以来、気持ちいいバイク乗り達が好きになりました。

何でもいいから一声かけるのって、意味無いようで、精神的にすごく重要なことだと思います。
相手の反応より、自分がどんな気持ちで言ってるかの方が重要でしょうね。
最近は車に乗ってエンジンをかけると、ナビとかが何か話しかけてきませんか?
どういう気持ちで言ってくれてるんでしょうかね?(笑)
この場合ほとんど無視していますけど、AI相手でも一言かけてくれることが意味のあるものになる可能性はありますよね。

それで僕らはとりあえず「お疲れ様!」って元気に言っとけば、それでいいんだと思います。


     つづく