㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森
11話 提案
「根暗(ねくら)出る樽(たる)渓谷のユユリリララさんから聞いております、もちろん賛同致します、ただし投資については、私どもはあちらより少ないですが、無利子、無催促、無期限の条件を付けて、1千万円の投資致しましょう」と。
これに私たち一同、つまり3人+1匹は、ホッ! ホッ! ホッ! ホッ! と4つ。
それから深々と頭を下げました。
されどもキンカンガルさんには笑顔がない。そしておもむろに話されたのです、「もう一つ条件があります」と。
私たちにとってこれは一大事、ここは覚悟を決め、奈那さんは「何なりと仰って下さい」と。するとキンカンガルさんは今までの苦虫を噛み潰した顔から満面の笑みをたたえながら仰ったのですよ。
「奈那お嬢さま、お父上の金太郎さんから頂いた金太郎飴、衝撃的に面白く美味しかったです、本『㊙ ビーナスの森』の採用に当たって、お嬢さまのお顔がいつまでも現れる『奈那飴』を作って頂きたいのです、この森を訪ねてきた皆さま全員に無料配布したいのですが、如何でしょうか?」
こんな提案を耳にした私たち一同、シーン。30秒の沈黙が……。そしてヤッチン、ツユスケ、私、かつご本人の奈那社長までもが、ワッ、ハッ、ハッ、ハッ、そろって大爆笑。
その後、不覚にもヤッチンが「奈那飴か、……、ガチッと囓(かじ)ってみたいよな」と吐いてしまったものだから、社長の握り拳が頭にガーン。それでも全員の大爆笑が絶えませんでした。
やっと奈那さんの「ヨロコンデ、金太郎飴の向こうを張る奈那飴を作りましよう!」と熱い決意表明があり、露払いの助までもが珍しく喜びが隠し切れないようでした。
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森 作家名:鮎風 遊