田舎バーガー(続・おしゃべりさんのひとり言168)
田舎バーガー
本場アメリカでのハンバーガーの定義って、パティがビーフ100%じゃないとダメみたい。だからチキンバーガーって無いんだって。
オレゴン州のポートランド近郊のヒルズボローという街の郊外に、すっごく美味しいハンバーガーレストランがありました。
その街への出張で1か月間くらいの滞在を、年に数回繰り返してたんですが、あのバーガーを食べたくて、週に1度はランチに通うほどです。
店のロケーションは結構森の中に入って、突然開けた農場を横切った辺りにあるんです。
つまりめっちゃ田舎。その店を『田舎バーガー』と呼んでました。
店構えは大きなログハウスで、天井から色とりどり様々なデザインの野球キャップが、無数にぶら下げてあったのが印象的です。(扉絵の写真参照)
特にチーズバーガーが絶品でした。何せそのチーズが地元オレゴンのティラムックという海沿いの牧場地帯の町にあるチーズメーカーのチェダーチーズを使ってたんです。
『Tillamook(ティラムック)チーズ』は、コストコにも置いてあるんで、日本でも購入できますよ。
あまりの美味しさに、そのチーズ工場と牧場の見学にも行ったくらいです。数十種類あるチーズを全部試食させてくれましたし、ブルーベリーとクリームチーズのジェラートも忘れられません。
話を戻して、田舎バーガーには、フレンチフライ(ポテト)かオニオンリングを付け合わせに選べるんですが、僕らはいつも両方(ハーフ&ハーフ)を頼んでました。
まずポテトとオニオンリングが大皿で出てきて、ケチャップを付けながら食べるけど、結構ボリュームがあってお腹いっぱいになります。
飲み物はスプライトかコーラなんですが、お代わり自由なので、頼んでもないのに何度でもつぎ足しに来てくれるんです。わんこそばみたいに。
そうして満を持してハンバーガーが運ばれて来るんですが、日本人の持つイメージで想像したらその大きさが伝わらないと思います。
野球のグローブぐらいのイメージでした。パティも分厚く大きいんですが、チーズもたっぷり。それが溶けて滝のように流れて皿に溜まってるくらいです。でもしつこくなく、ペロリといけちゃいます。
お店の客に杖を突いたヨボヨボのおじいちゃん&おばあちゃんも多かったです。
彼らを見て(大丈夫?)って思ってたら、そんな方々でもあれを一つ平らげるんですよ。昔から地元で愛されたソウルフード的なもんでしょうかね。
今までの人生では、この店のハンバーガー、一番満足感ありました。
日本ではハンバーガーはカジュアルで手軽なものですけど、サイズがなんであんなに小さいの?
マックのが小さいから? マックで普通のハンバーガーのバンズをめくったことあるでしょ? 薄いパティにケチャップ。なんじゃあれ? お肉カスカス。お金払うのもったいないと思ってしまう。
バーキンはそこそこ大きいけど、値段もそこそこ高め。日本の店舗ではマックサイズのもメニューにそろえてる。やはり売れ筋価格の問題は大きいようだ。
モスなんか合挽ミンチのパティでハンバーガーじゃなく、ただのサンドイッチだし。ま、日本の企業だから、日本人の感覚で考えれば、いくらでも言い訳が効くってことかな? 昔はビーフ100%だったのに。やっぱり価格本位で作るとそんなとこか。
じゃあ専門店のバーガーはどうなんだろうってことで、いろいろいいお店を探してます。
それらが1,000円以上するのは仕方ない。そういう材料使ってるんだから。
うちから10分で行けるグリルが、店のハンバーグをバーガーにして提供したりしてるけど、値段はハンバーグステーキセットと同じ。
近所の観光地にあるバーガー屋さんは、結構人気だけど、合挽ミンチで誤魔化してるよね。ハンバーガー専門店としてのプライドがあれば、それでいいはずないじゃん。
あの田舎バーガーを基準にしちゃうと、どんな人気店でも物足りない感じ。
でも、10年くらいネットで色々調べてると、僕の行動範囲(車で3時間くらいの地域)で、いいお店を2軒見付けました。
岐阜県飛騨高山にある観光客が多い、古い町並みにあるお店。ものすごく古い家屋の雑貨屋さんの中に入って、その奥の路地を抜けたところにそのお店がある。
表通りからは絶対に見付け難いこのお店が、『New York Times』で「世界一のハンバーガー」と紹介されたらしく、開店前から行列のお店になっていました。
実は僕、有名になる前からそこ知っていて、何回も食べたことがあるんですけど、(世界一???)って疑問が。
ま、(あの古風な街並みの隠れ家的なお店で出される雰囲気も相まって、そんな評価になったんだろうか?)って思ったけど、(ひょっとして何か変化があったのかな?)って気がして、もう一度食べに行ってみました。
行列ができるほどだから、かなり早くその店に着いたら、誰も並んでない。一番乗りです。
開店30分前には、数人くらいの列になったけど、お店の方が出て来られて、この状態でオーダーを取り始められました。
そこで初めて、飛騨牛バーガーがあるって知りました。
今までもあったそうですが、20食ほどの限定で、僕が以前来店した際にはいつも売り切れだったんですね。
それじゃ折角なんで、それ頼んじゃいますよね。一個3,000円以上しますけど、そんなに人気なら。
そのパティはミンチじゃなく、風味のいいお肉がゴロゴロした感じで、『世界一』ってのも納得でした。
四国の徳島市には、徳島バーガーってのが有名(なのか、町おこし的なノリなのか)だそうで、結構多くの専門店があります。その中で評価が一番高いお店に行ってみました。
駅近のアーケード街にあるアメリカンなお店に、仕事に同行した若い女子のおねだりで食べに行く機会ができたんだけど、彼女も「あんまり~」という評価でした。地方都市だから、駅に近いお店が来店客が多かっただけなのかもしれません。
でもそこから車で10分ほど離れた大通り沿いにあるショットーバーが、昼間にハンバーガーショップになってるのを見付けて気になってたんで、後日、四国旅行した際に妻と行ってみました。
メニューに載っていたスペシャルチーズバーガーの写真の見た目が、あの田舎バーガーそっくりだったんです。
何としてでも行くしかない! 行ってみたら全然混んでなくて、むしろ客は僕らだけみたいな。
それでも夜にバーやってるくらいだから、ドリンクメニューが豊富で、その中にRoot Beer(ルートビア)までありました。
それ何か知ってますか? Beerという名前でも、ビールではありません。Dr.Pepper(ドクターペッパー)みたいな炭酸飲料ですが、日本人にはあまり人気ないでしょう。味が独特ですし。
でも僕はこれ好きなんです。アイスを浮かべてフロートにすると最高なんだよ。
僕はスペシャルチーズバーガーと、ルートビアを注文しました。
横に添えられたポテトの量は少ないですが、キュウリのピクルスもついてるし、何よりお皿まで垂れてるチーズがすごく美味しい。Tillamook(ティラムック)チーズじゃないけど、マジ美味しい。
そこは自宅からは250㎞以上離れてるけど、僕ら夫婦はその店目的で、もう4回も足を運んでいます。
つづく
作品名:田舎バーガー(続・おしゃべりさんのひとり言168) 作家名:亨利(ヘンリー)