カナダに転生した武田信玄
閻魔大王は厳かに言った。
「武田晴信、またの名を武田信玄。お前は散々悪いことをしてきた。わかっておるな」
「はい、歯向かった城兵を皆殺しにし、裏切者の家族を見せしめに磔にし、金山の場所を知られたくないため、鉱山労働者とその家族を生き埋めにし、人身売買を推奨しました。そして征服した土地の女性をたくさん凌辱しました」
「お前はそういったことを反省しているのか?」
「ぜんぜん反省しておりません。戦国大名として当然のことをしただけです」
「バカ者! お前はまた戦国大名になりたいと思っているのか?」
「ぜんぜん思いません。戦国大名は家来から敬われるけど、他国の人々や後世の人々からは散々な言われよう。死んだら地獄に落ちるのは当たり前。しかし戦略的に物事を考えて、困難を克服し、成長していくのは実に楽しかった。孫子の兵法、風林火山の実践は何度でもやりたい。次は庶民的な善人としてこれをやってみたい」
「それでは、お前を地獄道に送る代わりに人間道に戻し、何のとりえもない孤児にしてしこたま苦労させてやる。その風林火山とやらを使って這い上がり、善行を積んでみせるがよい」
こうして信玄は十九世紀のカナダ東部に女児として転生した。孤児となり、プリンスエドワード島の寒村アヴォンリーの老夫婦の元に送り込まれた。彼女の名前はアン・シャーリー、またの名前を「赤毛のアン」。多くの人に好かれ、教師になり、家庭を持ち、そして村の発展に尽くした。
目標:社会に適応すること
風:人に好かれるための情報を広く集めること
林:人に好かれるチャンスに素直に反応すること
火:人に好かれるチャンスには全力を発揮すること。
山:人に好かれるチャンスを粘り強く待つこと
作品名:カナダに転生した武田信玄 作家名:花序C夢