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回転、回転

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ミシシマ通りでは
チャンピオンに頭を下げ
新聞紙が土に還るのを待っている
けれども結果的に何もおこらないし
期待もしていない
仮にお前にデコピンしても
学校で関係のない奴の
おデコが腫れるだけ

彼女の半袖は俺の長袖
彼女は紙皿に焼肉のタレを注ぎながらやってくる
彼女の笑顔はこの世の恐怖
彼女の優しさで人が減る
彼女はエビを食いながら歩く
彼女はアリの巣に溶けたアルミニウムを流す
彼女は鳥居にローキック

あなたはまだ想像力を
信じているのだろうか
ワタクシはただ叫びます
昨日剥がれたカサブタを追って
あなたの姿を想うのです

時代の波
安物の爪切り
残り物の茶碗蒸し

ワタクシの脳ミソが
鼻から溶け出るもんで
流し素麺
上流の水域
片栗粉的に
落下して
大変申し訳ない
すみません

下流の人々は
いつの間にやら
素麺からカルボナーラ
そいつを喰うしかない
やたらにやけくそ
やけくそにやたら
仕方なく
皆が自家製のダイナマイトを持参
とにかく着火してみる
すごい爆裂の連鎖
近くの急須型公園で
野外創作活動をしていた陶芸家が
高速回転でまわる、まわる
まわる、まわる、まわる、
回転、回転、コイルが回転
発電所代わりに
陶芸家が輝き
人間的な価値
本領を発揮する

ワタクシはとにかく
げんなりしてて
頭からまっ逆さまな気持ち

白馬から色を抜いたら
怒ったワニから香水を採集する気分

錆びた釘を米と共にジャーに入れ
2日保温で秘かに象牙が育つ

それを見て安心した
ワタクシは2階の便所から
4階のボイラー室に
焼き芋を取りに行く

そして屋上に向かい
地面を見下ろす

路地裏では
乾いたゾンビに子供達が
水を与え、
近隣住宅から
老いたギンヤンマが生まれている

ブラッドレッドシューズ
踊れば踊るほど
骨から出血する
だから
そんなに期待しないで
期待しないでください
お願い
お願いだから


「ねぇ、何書いてるの?」
「やあ、ジェシー。日記だよ、ただの絵日記だ」
「そう、私は買い物に行くけど、あなたはどうする?」
「僕はいいよ。このまましばらくゆっくりしているよ。人混みは苦手だ」
「そう、すぐ戻るわ。じゃあね」
「ああ」

そう言うとジェシーは外に出て行った。

私はベランダに出て、タバコを吸いながら眼下を見下ろす。
吐き出す煙が宙で溶ける。
とにかく地上を歩くジェシーはミシシマ通りに向かっており、途中にある急須型公園では、まだ陶芸家がすごい勢いで回転し続けている。
作品名:回転、回転 作家名:igu