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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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乾燥した海藻の感想は?(続・おしゃべりさんのひとり言140)

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乾燥した海藻の感想は?



【第一部】嫌いだった海藻

小学生の頃、ワカメってものが不思議でした。
食べ応えないし、美味しくもないのに、毎日味噌汁に入ってる。って、面白いねぇ?

家庭科の調理実習で、味噌汁を作るのにワカメを持参させられたんだけど、児童によっては、カリカリ乾燥ワカメか、塩がまぶされた塩蔵ワカメを持って来てた。
その時初めて(保存の仕方に違いがあるんだ)って知った。
それらのどっちが美味しいか食べ比べようって、両方の味噌汁を飲んでみたけど、どっちのワカメも特に美味しいということは無かったな。
中学の時、髪の色が茶色っぽい友達が「毛が黒くなるようにワカメをがんばって食べている」という話を聞いて(可哀そう)と思った。確かに海藻が髪にいいという都市伝説があったな。
それからもカップ麺で『ワカメラーメン』が発売されたりしたけど、(具が乾燥ワカメしか入ってないようなラーメン、誰が食べるねん!?)って思った。
つまり、ワカメは青ネギみたいにオマケのようなもので、食べたい具材と言う認識ではなかったんだ。むしろ(要らん!)と思っていました。

ところが大人になって、ちょっと高級食材を売ってるスーパーで買い物してた時、鮮魚コーナーに『朝採り生ワカメ』という表示が目に付いたんです。
そこには瑞々しいワカメが山積みになっていて、その葉っぱ(で合ってるのかな?)の厚みに驚いた。
(これってワカメなの? これが生の状態? これは歯ごたえスゴイだろうな)そう思った。
僕がワカメが嫌いだった理由は、普段は煮蕩けたように、味噌汁に入れても、酢ダコに和えても、トロトロしてたから。
でもこの時目撃した生ワカメは、明らかにそれとは違う。なぜか興味をそそられて、その生ワカメを買う事にしました。
味噌汁にすると鮮明な緑色になって、お椀の汁面からシャキーンと立ち上がるように顔を出してるじゃないか。食べるとその歯ごたえが、シャキシャキとたまらなく美味しい。
本来、これがワカメ(メインの)味噌汁なんだ! これがあったから、乾燥ワカメで代用しただけなのか。
僕はこの生ワカメが気に入った。
それからは生ワカメが売られてるとよく買いました。塩蔵や乾燥物には見向きもしませんが。
そうやって我が家のワカメ汁は、味噌汁も中華スープにも生ワカメだったのですが・・・。

【第ニ部】海藻の保存技術

海外出張のお供に、インスタントの味噌汁を持って行くことがあるんです。パックの生味噌をお湯に溶かすお手軽なやつです。
中でもワカメ味噌汁のパックは、一食10円の安さ。具は後から現地で追加出来ますので、その10円に惹かれて買いました。
それがあると、仕事で遅くなって晩御飯を食べに行けなくなった時に、味噌汁にそうめんでも入れて、ホテルの部屋の電気ケトルのお湯でも、すぐ作れるんです。
(インスタントラーメンは豚とか牛とかのエキスが入ってて、大抵の国では空港の検疫に引っかかるから、持ち込み申告しないで入国審査後にスーツケースで見つかったりすると、罰金がすごいことになるんですよ。でもワカメ汁やそうめんなら問題ありません)
でもその味噌をお湯で溶くと、ワカメはヌルヌルなくらいに蕩けています。しかも茶色っぽい色です。
(行き過ぎてる感あるし、やっぱり美味しくはないな)そう思っていました。

ところが20年くらい前のある日、アメリカのホテルの朝食ブッフェに、インスタントの味噌汁パックを置いてくれてたんです。
それは一食10円の安物じゃなく、100円くらいする日本製のフリーズドライ製法の高級品じゃないですか。
具も豆腐とか青菜も入ってるようです。僕はお湯を注いで席に着きました。
パンやスクランブルエッグを食べていますので、味噌汁になど何も期待していませんでしたが、何気にそれを口にして、(え?)と驚きました。
青菜じゃなく、緑のワカメが入ってたんです。まあ普通に考えて驚くことじゃないでしょう。
僕が驚いたのは、(このワカメ、生じゃない?)って思ったくらい、シャキッと歯ごたえがあったんです。
フリーズドライは、乾燥した保存食によく使われる製法ですよね。
最近は冠婚葬祭とかのちょっとしたお返しに、お茶とか海苔じゃなく、インスタントスープや味噌汁のセットをもらうことが増えました。(実感)
お湯で戻しやすいように具が細かいというのは難点ですが、味は結構イケますね。
昔の自然乾燥したワカメはお湯で戻すと、しな~っとなるのに、まさか元通りシャキシャキに戻せるなんて。
この技術の高さに驚きです。その研究努力には感謝感激だ。
生ワカメって、いつでもどこでも手に入る訳じゃないし、長持ちしないし結構不便です。
でもフリーズドライがあるなら、それでも十分満足するようになりました。

【第三部】おすすめの海藻

僕は毎日、お弁当を持って会社に行きます。
味噌汁も保温の効くポットに入れていたのですが、コストコでフリーズドライの味噌汁の具だけが入ったお買い得パックみたいなのを見付けてからは、10円味噌汁と乾燥した具をたっぷり持って行くようになりました。
会社でそれにお湯を注いで作るんですが、ワカメがシャキシャキ。それにおかずのゆで卵のスライスを加えるのが好きです。(今日もそれしました)
他に細かいですが豆腐やお揚げ、板麩なんかの乾燥具材も入っていますし、プチ豪華。
でも僕にはその中に気になる具がありました。それは赤紫色の海藻です。
きれいな色で、ワカメの緑、豆腐の白、味噌の茶色に浮き出るほどの鮮明さです。
今までにもこの形の海藻、海藻サラダやお刺身の器で見たことがありました。
僕は、お刺身のついでに付いているような、黄色い菊の花や、紅蓼、穂紫蘇、海藻類もよく使います(食べます)。
そんなこと言うと、「あれはただの飾りだ」って言われることがあります。
勿体ないですよね。こういう『あしらいもの』って、結構単価が高いもんなんですよ。
実際は、薬味として使ってもいいものですし、本当に彩りとしての役割も持っています。
つまり食べても食べなくてもいいものだと思います。
でもその中にも、必ずと言っていいほど、赤紫の海藻があるでしょ。

調べると『トサカノリ』と言うそうです。確かに色と形状が、鶏の鶏冠(とさか)に似ている。
ま、味が美味しい訳ではないのですが、何よりこの色が好きです。
伊豆諸島や九州西岸が主な産地らしいですが、まだ養殖(栽培)技術がそれほど確立されていなくて、天然ものの採集に頼り、年によって繁殖水域が異なるなど、産業としては不安定要素が強いのだそうです。
特に赤みの強いものは、高級品として取引されるようです。しかも絶滅危惧種だって。それ貴重ですよ。高いですよ。
それを食べずに捨ててしまうなんて・・・
ワカメで乾燥海藻のポテンシャルを見た僕は、このトサカノリにも期待しています。
これはそのうち栽培が盛んになって、もっと定番の海藻になってくるかもしれません。
それまでは、見かけたら絶対に食べてやります。


     つづく