小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

咄嗟のウソ(続・おしゃべりさんのひとり言132)

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

そして会社の事務所に直行したら、何とか遅刻せずにギリギリセーフ。
それから妻に電話したり、うちの保険屋に再度電話して、先程の事故内容の報告の続きです。そのオペレーターが言うには、
「相手が保険に入られていたのでしたら、100%相手の保険で処理されますので、以降こちらからご連絡することはございません。もし、無保険や金額で揉めるようなことがあれば、弁護士特約が付いておりますので、こちらにご連絡いただければお力になれるかと・・・」
このように説明を受けた。と言うことは(100%相手に責任があることが明白な事故の場合、こちらの保険屋には連絡する必要もないんだな)と思いました。
昔なら事故の場合、担当の保険屋さんが何度も連絡して来てくれたりしたもんですけど、なんか最近の保険処理ってサバサバしてるんだなって思いませんか?

次に僕は、地元のBMWディーラーに電話しました。修理を依頼するためです。
普段でしたら15年以上お世話になっている外車専門の整備工場に相談するんですが、1年前に経験した貰い事故でも、加害者の方がものすごく真摯に謝罪されていたので、あまりお金がかからないようにしてあげようと、この町工場に修理に出していました。
しかし今回は、10日前に買ったばかりの車ですし、何より今朝の加害者さんの態度が気に入らないし、何の配慮が要るでしょうか。当然費用は相手の保険持ちってことですので、お金のことは考えなくても構いません。代車だっていい車を出してほしいので、正規ディーラーに相談することにしたんです。当然高く付くものと解っています。
ディーラーの担当者さんに事情を説明し、修理の為に入庫の段取りを打ち合わせました。
後は加害者側の保険屋さんにこの入庫先を伝えれば、取り敢えず今日出来ることはこれですべてOKです。
そしてやっと通常業務に就いたのですが、昼休みを過ぎても相手の保険屋から連絡がありません。(きっと大雪で事故が多発していて、処理が追い付かないほど忙しんだろうな)そう考えました。
まだ事故の起こった時間が早かったから、すぐに警察が来てくれたけど、今から呼んだとすると、いつ頃来てくれるんだろう?

夕方になりました。まだ保険屋から連絡がありません。
これはきっと加害者さん(保険屋に連絡してないだろうな)と思いましたので、相手の電話番号にSMSでメッセージを入れました。
[今朝の事故の件について、そちらの保険会社からの連絡をいただきたいのですが、保険会社への報告はお済みでしょうか? 確認お願い致します]
するとどうでしょう。すぐ15分後くらいに、保険会社の担当者から電話がかかって来ました。
そこではまた、僕にケガがないか丁寧にしつこく聞かれました。やはりマニュアル通りでしょうね。そして事故内容の確認をされた訳ですが、
「・・・で、急ブレーキをかけられて、後続車のブレーキが間に合わず追突に・・・」
(また、ここでもウソを)と思いました。
どこまで責任逃れするんでしょう、あの加害者さん。この時僕はハッとしました。よく考えたら、一度も謝ってもらってないじゃない!
こんな事で僕に火は付きませんけど、正確な情報を相手の保険会社には伝える必要があります。
警察官がドラレコの映像で、僕が7秒間停車した後にぶつかられたのを確認されたこと。警察を呼んだのも僕で、その間一度も加害者は車内から降りて来られず、結局最後まで謝罪が無かったこと。
こういう話になると保険のオペレーターがこれまた丁寧に謝罪され、もう一度ケガの確認・・・。そんなのもう、どうでもいいわ。
「事故は追突で、100%こちらに過失があるという事になりますので、費用をご負担していただくことはございません。すぐに弁償額を算出させていただき、修理にかかれるように致しますが、ただ今日の状況では、代車のレンタカーの予約が混んでおりまして、車種はSUVを希望されますでしょうか?」
「いいえ、安い車じゃなければいいです。出来るだけ早く修理できるようにしてください」
そう言って電話を切りました。
帰宅したら、妻は学校に関係した仕事をしているので、事故現場の中学校の知り合い職員に電話して、「防犯カメラの映像を保存しておいてもらえるようにお願いしておいた」と言っていました。
やっぱり軽いウソでも、簡単にバレるんでやめておいた方がいいですね。

それからは一切、あんな加害者さんとはコンタクトを取っていません。自動車保険ってサービスは、本当に便利でありがたいシステムです。

3日後くらいに修理見積りが出たそうで、代車は国産ですが大型セダンになりました。
それから2週間、BMW X6は後部バンパーと周辺部品が新品に交換されて帰ってきました。
そのディーラーの説明を聞いていると、(そこまでする必要ないでしょ)ってくらいに、ここぞとばかりお金をかけて整備してくれています。最高級の洗車や特殊なボディコーティングまで、全部保険で。
結局、修理代は76万円かかったようです。
もし現場を見た人がその話を聞くと、「この程度のキズで!?」と驚かれること間違いありません。でもそういう相場だという事を、1年前のもらい事故で僕は知っていたので、今回の加害者さんの態度がいかに悪くても、(後で痛い目見るんだから)と思って、笑っていられたという訳です。
代車のレンタカー代約20万円も加算されるし、ぶつけた車も修理するとなると、やっぱり100万円は余裕で超える保険金になったんでしょうね。
可哀そうですけど、来年から等級が落ちて、保険料が高くなると思います。

ディーラ-の担当者さんの話では、
「今回は、買われたばかりのお車でお気の毒でしたけど、相手が保険に入っていただけでも良かったですよ。最近は任意保険に入らない方が増えてるんです。うちでもよく揉めますから」
「任意保険は入るのが当たり前だって思いますけどね」
「そうですよね。昔はカーショップの保険外交員が勧めるんで、誰でも加入したと思うんですけど、最近はネットでしょ」
「確かにうちも、ここ10年以上ネットで入ってます」
「そうすると、どうやって加入したらいいか分からないとか、どれを選んだらいいかとか、その金額が得なのか判断できなくて、結局放置する人が多いらしいですよ」
(なる程。そう言う理由か)と納得。(誰かがサポートしてあげないと、要領が分からない人って多いんだろうな)
相手が無保険車だった場合、『こちらの保険で修理しても等級が落ちない特約』もかけておいた方がよさそうな昨今です。
でもそんなことしたら、加害者の代わりに僕が保険かけてあげてるようなもんですし、従来の弁護士特約で裁判でもしてもらって、相手に強制的に払わせた方がいいような気もします。(情けをかけてあげる必要がない相手ならね)

今回の加害者さん、せめて自賠責証明書の件は放置せず、ちゃんと届けられたのかな?


     つづく