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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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金縛りの考察(続・おしゃべりさんのひとり言127)

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その時、僕はソファで昼寝していたんです。
するといつものように、きゅう~んと金縛りがやってくる感覚が起こりました。
周囲は明るかったので、幽霊は登場しませんでしたが、体にかかる重力が大きくなったような感覚が起こるんです。
こう言うと(何かに押さえ付けられているのかな)って思われるかもしれませんが、何の理由もないジレンマみたいな感覚になるんです。
これで金縛りになったと気付きます。
だけど、昼間なので怖くも何ともありませんし、焦りもしません。
(よし、いろいろ試してみよう)そう思いました。

手を動かせるか?
 →動かそうとする感覚はあるけど、いつも通り動かない。
足はどうか?
 →同じくバンバン蹴ってみても、実際には動ごいていない。
声は?
 →大声を出そうとして、息だけ漏れているのが分かる。
目は開けられるか?
 →ぱちくり瞬きをしてみたら、・・・開く! 開いた!
(いや、これもまた夢かな?)そう思った。
でも部屋の景色が見えている。
僕は目覚めていたんです。実際に目を開けているんです。

2メートルほど離れたところで、妻が雑誌を見ているのが認識できました。
どうやらこれは現実のようだ。
でも寝ぼけているからなのか、この時も体は一切動かせなかったんです。
声を出そうと必死になると、毎度のことながら息だけが「すーす-ハァハァ」と漏れる。
妻が気付いてこっちを見た。(やった!)
その様子を僕も見ているんだ。
でもまた妻は雑誌に目線を戻してしまった。(おしい!)
僕は(息をしているだけだと思われたら、気付いてくれない)と思った。
もっと小刻みに不自然な息の仕方で、注意を引くしかない。
「はっはっはっは、ふんふんふんふん」
また妻がこっちを見た。(チャンス!)
更に力んで呼吸して、目を何度もぱちくりした。(気付け~!!!)
それでも体はまったく動かせない。これも全部夢なのか???

妻が不審に思って、近付いて来てくれた。
僕は、視線を妻に向けたまま、つまり、眼球だけが動いていたと思う。
「どうしたん? 大丈夫?」
そう聞かれたが返事が出来ない。激しく息をするだけだ。
ついに妻が僕の顔を揺らした。
その瞬間!

「ウハァ~~~~~!!!」
僕は叫んで、起き上った。
「金縛りィ!!!」

妻は一瞬、呆気にとられた表情の後、すぐ床に転がって大笑いした。
確かに可笑しかったかもしれませんがね。

これじゃあ、金縛り中に災害にみまわれたら、逃げられないってことが心配です。


     つづく