続・おしゃべりさんのひとり言/やっぱりひとり言が止めらない
その104 交通安全教室
僕の事業部じゃ毎年一回、従業員に『交通安全教室』を開催しています。
なんか小学校のイベントみたいですけどね。
自家用車での通勤者が多いので、毎年近隣の役所や警察署から講師を招いて、あおり運転や自転車のルールなど話題のテーマを、一時間くらいの講和で聞いたり動画を観たりするのだけれど、堅苦しい大人がこぞって交通安全教室なんかに参加したがるものでしょうか?
僕はとても意味のあることだと思って開催してるんですけど、面倒がる社員も多いんです。
企業としては教育記録を残す必要もあるので、感想などをアンケート用紙に記入させるんですが、意識の高い方は3~4行の意見を書かいてくれたりしますが、中には白紙で出す人もいます。
こんなのでも普通の大人ですから、子供みたいに「ちゃんとしなさい」なんて言いにくいですよね。
でも社員が交通事故を起こしたら会社は困るんです。
Q.突然ですが、ここで問題です。
Aさんは、会社通勤に自家用車を使用していました。
理由は、会社までの公共交通機関が無いためです。
ある日その通勤途中に、不注意による追突事故を起こしてしまいました。
被害者のBさんは大ケガをして、補償を要求しましたが、Aさんは任意保険に入っていませんでした。
加害者であるAさんは、被害者のBさんに、経済的に十分な補償が出来ません。
そこでBさんは、Aさんの所属会社を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしました。
会社は、「一般に通勤時間は勤務時間外となり、社員A個人の自家用車での事故とは無関係である」と主張しています。
さて、裁判所の判断はどうなったでしょうか?
これを今年の講話のケーススタディで教わりました。
早速答えを言いますと、『会社が高額の損害賠償を命じられた』判例があるんだって。
通勤途中は勤務時間じゃないけど、自家用車以外で通勤できない社員には、会社もそれが解って雇用してるから責任があるんだってさ。
でも任意保険も入ってない人に、そこまで面倒みてあげないといけないんですかね?
それだと、任意保険入っていない社員には、会社が社員個人の代わりに任意保険をかけておかないといけなくなる理屈じゃない・・・そんなことしたらみんな自分で保険かけなくなりますよ。(納得いかないような気もします)
事故を起こした社員が反省して、今後会社のために貢献してくれたりしたらまだいいですけど、保険が支払われた後、逃げるように退職してしまわれたらどうします? それこそ納得いかん。
僕の事業部だけでも過去10年くらいの間に、通勤交通災害が5件くらい発生しています。
大ケガは無くてよかったですが、廃車は2台となっています。
まさかそれも請求されたら、会社が弁償してあげないといけないケースもあるんだろうか?
通勤や勤務時間外のプライベートでなら、もっと運転中の事故は発生しているようですから、やっぱり会社側が、ちゃんとした教育をしておいてやろうってことです。
かく偉そうに言う僕も去年、追突事故を起こしてしまいました。
一応初めに断っておきますけど、僕は悪くありません。言い訳じゃなく、多分。
追突したのは僕なのに、保険会社の過失配分が10対0という、向こうが全責任を負うという内容です。不可解な事故に思えるでしょ?
同じ頃に偶然、部下の女性も追突被害に遭いました。
こちらも過失配分が10対0で、相手に責任があったそうです。
「車同士の事故で10対0なんて、ほぼあり得ない」とか聞いていましたが、立て続けに2件もありましたよ。
これを聞けば「不幸中の幸い、よかったね」となりそうですが、そんな単純な話じゃありませんでした。
僕の事故は、高速道路で起きました。
伊勢神宮に参拝しようと、妻と二人で愛車に乗って向かっている途中のことです。
それは3連休初日。交通量はそこそこ多く、追い越し車線でも80キロ出せるかどうかの混み具合です。
左側の走行車線をゆっくり走っていると、前方のトラックが追い越し車線に移動して、その前の乗用車を追い抜きました。
僕はその追い抜かれた車を見た時、少し違和感を覚えました。
明らかに速度が遅かったのです。更にその前は順調に走ってるのに、この乗用車は50キロくらいしか出ていないように思えました。
当然僕はトラックに続いて右側に車線変更し、それと同時に加速しました。
すると突然その乗用車がウィンカーも点けずに、フラフラと僕の前の追い越し車線に寄って来たのです。
(アッ!)と思ったけど、道路にも僕の咄嗟の判断でも、もう避けられる余地が無い。
(僕に気付いて、左に戻ってくれ!)と一瞬思いました。
なのにその車両は急ブレーキをかけて、僕の前で急停車する選択をしたのです。走行車線と追い越し車線の中央で、斜めの状態で道を塞ぐように。
まさか、高速道路でこんなことがあるなんて!? 僕の前方不注意が問われる状況でしょうか?
僕もフルブレーキングしかありません!
右側のガードレールまでの隙間も、僕の車の幅ではすり抜けられませんでした。
僕は学生の頃、同じような状況で、左から急ハンドルで迫る車を避けてセンターウォールに擦って止まったものの、その相手とは接触せずに、そのまま逃げ去られた経験がありました。
だからこんな状況の時は、自損事故の泣き寝入りにならないよう、相手の車にぶつける覚悟があったんです。
(中央分離帯と相手の車、どっちにぶつかる方が安全か、よくシミュレーションしていたんです。壁にぶつかってスピンしたり、横転してゴロゴロ行くより、安全に追突するべきだと常日頃から考えていました)
なので僕は、ハンドルを切らずに、急ブレーキをかけました。
ハンドルを切ると怖いと思ったので、とにかくフルブレーキングするしかなかったというのが本音です。
カカカカカカカカと、強力なブレーキが自動でかかるのを感じました。
もう少しのところ、相手が急停車さえしてくれなければ、追突は回避できたと思います。
僕の車の前左角が、相手の右後タイヤ付近に接触し、ドアミラーをぶつけた位置で止まりました。
助手席の妻は、さぞ怖かったでしょう。「きゃーーーーーーー」と叫んでいました。
でも僕はパニックにならず、すぐに後方をミラーで確認しました。
ルームミラーに大型トラックが迫って来ましたが、十分な車間があったので、走行車線側に避けてすり抜けてくれました。
そしてすぐにハザードランプを出して、路側帯に移動したかったのですが、なんとその相手車両から、男性が跳び降りて来て謝り始めたのです。高速道路上ではとても危険な行為です。
僕は窓を開けて、「早く車を左に寄せましょう!」と叫んでいました。その車両が邪魔で身動き取れなかったからです。
幸い後続車は、すべて停車するか、左の路側帯を使ってすり抜けて行ってくれましたので、多重事故にはなりませんでしたけど。
もう一方の僕の部下の事故はと言うと、家族の車に乗っている時、畑の真ん中の農道で起こりました。
周囲には田んぼや畑以外に何もないような、見通しバツグンな十字路の信号待ちで停まっていると、突然2台後ろから追突され、玉突きで弾き飛ばされて畑に落ち、横転してしまったそうです。⦅個別投稿ページの扉絵下の写真参照⦆