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【後編】哀レは己レの為メ成レど

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ユウキ「途中まで一緒に帰っても良いですか?」

まなみ「もちろん」

ユウキ「………手、繋いでも良いですか?」

まなみ「…」

ユウキ「…」

まなみ「手だけで良いの?(両腕を広げる)」

抱きつく音

まなみ「…」

ユウキ「…」

まなみ「背、(顔を見上げる)高いんだね」

ユウキ「…」

まなみ「…」

ユウキ「…」

まなみ「…なに?」


リップ音


<カナコ宅>
シャワーの音が徐々にフェードイン

まなみ「はぁ…」

まなみ「あーーーーーーーーーーーーー・・・・・」

シャワーの音、急速にフェードアウト

まなみ「クソッ…」

歪んだSE 
倒れるまなみ


<夢>
水族館前
近くで「チケット売り場こちらです」「どうぞ〜」の声がしばらく聞こえている
腕時計を見る

まなみ「まだかな」

セリフのない時間をめちゃくちゃ取る
だんだん秒針の音が大きくなる

まなみ「まだかな…」

秒針の音だけになり、かなり大きい音に。小さい音でカラスの鳴き声。
そこから急なフェードアウト

まなみ「なんで」


<カナコ宅>
カラスの鳴き声が聞こえる

まなみ「え…6時半!? うそ、なんでこんなに」

まなみ「早くしな…あれ、服が…気にしてる場合じゃない」

玄関を開ける音
走る音

<公園>
まなみ「ハァ…ハァ…まだ来てないか…」

まなみ「19時だけど…まだ、来てないのね…」

まなみ「・・・」

着信音

まなみ「どうしたの?」

カナコ「(泣いている)先輩が…来てくれない…」

まなみ「忙しいんでしょ、もう少し待ってみたら?」

カナコ「私…嫌われちゃったのかな…」

まなみ「どうなんだろ」


S E:キラキラキラキラ
カナコ「私もう、会えないのかな…」

まなみ「さぁ、どう…待ってそのセリフ!」

ユウキ「すいません、遅れました」

まなみ「あ、うん、全然。私も今きたとこ」

ユウキ「ごめんなさい」

まなみ「え?」

ユウキ「俺、やっぱカナコちゃんのとこ行って、謝ろうと思います」

まなみ「なに…それ…」

ユウキ「また今度、お願いします。 それじゃあ」

まなみ「ちょっと待っ」

歪んだS E

まなみ「なんでこんな時に…都合よく…」

まなみ「(頭痛に耐えながら)あぁ…そっか…私みたいな脇役は…寝てろってことか…」

まなみ「私の体すら、こんなにも都合よく出来てたんだ…」

倒れる

<公園の広場>
まなみ「…」

ユウキ「(カナコ)ちゃん!」

カナコ「先輩!」

ユウキ「ごめん! 遅れたことも、昨日のことも」

カナコ「私の方こそ…考えずに喋っちゃってごめんなさい!」

ユウキ「それも含めて、許そうって思えたんだ。 だから」

カナコ「…」

ユウキ「俺と、付き合ってください」

カナコ「…はい!」

まなみ「…は?」

まなみ「何それ」

カナコ「まなみ…さん…?」

まなみ「なんのために私は側にいたの?」

まなみ「なんのために私はカナコのつまんない話を聞いてたの?」

まなみ「なんのために私はハンバーグを作って届けたの?」

まなみ「なんのために私は…生きているの?」

カナコ「なに、言ってるの…?」

まなみ「これで終わりなら…私が…」

まなみ「私が報われないじゃない(『。』or『…』or『!』)」

紙を破る音


<まなみの部屋>

まなみ「戻ったんだ・・・」

まなみ「こっちにいても変わんないのに。」

カナコ「これ…」(破かれた漫画を渡している)

まなみ「…あんたもこっち来れるのね。」

カナコ「…」

まなみ「少女漫画が嫌いって言ったくせに、自己満足のためにこんなの描いちゃってさ。
ライバルはあんたみたいな古典的な女の子用意して、そんな子が敗れて私みたいな人間が付き合えるって話を描いたんだ」

カナコ「…」

まなみ「あれ、あなたの立場だったのね…」

カナコ「…」

まなみ「ごめん…」

カナコ「…」

まなみ「…ちょっと外の風に当たってくる」

部屋の扉を開ける音
遠くで玄関の音が開く音


<外>(以下、登場してくる男はユウキ役の人で)
まなみ「さむっ…」

しばらく歩いている音

まなみ「 お腹すいた…」

ここから足音のみ
徐々に音楽がフェードイン
音楽が流れながら、足音がずっと聞こえている。このシーンでは足音をしっかり聞かせる

<コンビニ、レジ前>

男「次の方どうぞ〜」

まなみ「…」


ピッ
男「330円になります」

まなみ「…」

男「…」

まなみ「…」

男「…あの」

まなみ「え?」

男「50円、足りないです」

まなみ「…あっ、ごめんなさい」

レジの音

男「ありがとうございましたー」

<外>
足音

別の足音が向こうからやってくる

肩がぶつかる

男2「…チッ」

まなみ「…」

しばらく足音

まなみ「…あれ」

まなみ「おにぎり置いてきちゃった…」

まなみ「良いことなんて、どっちにも無いじゃん」


<まなみの家>
前編の冒頭と同様の音(階段、扉の音)

まなみ「あれ、カナコ?」

まなみ「帰っちゃったか…」

椅子を引き、突っ伏す

まなみ「哀れだな…」

まなみ「(鼻を啜る)」
ラインの着信音
まなみ、スマホの画面を見る

まなみ「…えっ?」

まなみ「カナコ!今度は私の」


まなみ「…弱音、吐くとこだった」


まなみ「ごめんね」

―終わり―