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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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交通安全教室(続・おしゃべりさんのひとり言 104)

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車内にはお兄さんが運転席、助手席に母親、部下は後部座席に乗っていたそうです。
結果、母親は救急車で搬送され、部下とお兄さんは週一回、期間は1か月ほど、治療に通うケガをされました。車は全損です。
追突した相手は、ブラジル人が運転する小型トラックでした。
幸い加害者は、「全部自分が悪いので弁償する」と言いました。
警察の実況見分でも、「信号待ち車両2台に対する前方不注意」と認められ、過失割合が10対0となります。
加害車両はトラックですので、業務用に使われていたらしく、会社やなんかが保険で対応してくれそうに思えました。
ところが話の通じない業者だったようで、その言い分は、「加害者が休みの日に勝手に会社のトラックに乗っていたので、会社は補償しない」だそうです。
しかしブラジル人は、事故の弁償を金銭的にできるような人じゃなかった。
被害者側の保険は過失ゼロなので適用外となり、加害者との交渉には保険に付帯する弁護士は使えませんでした。
部下の後ろで追突されたもう1台の被害者は、諦めて自分でかけている車両保険で修理することにしたそうですが、部下の家族の車には、自損として修理に使える保険は契約していませんでした。
それより車両はもう廃車になっています。
こんなケースでは、一体どうすればいいの? 交通安全教室で聞いたケースより悪い状況です。

僕の事故の方でも、相手がすべて責任を認めてくれました。
車がビュンビュン行き交う高速道路の脇に、自分たちの事故車を停めて、警察が来るまでガードレールの外に出て待ちましたが、結構危ない場所でした。(扉絵上の写真参照)
そこで相手の話を聞きましたが、腰の低い方で終始恐縮されっぱでした。
そこで告白された事実は、運転中に暑くなったので、上着のトレーナーを脱いで引っ掛かり、前が見えずに急停止したそうだ。
正直な方で警察にもそう説明されていたし、小学校の息子さんを連れていて、「お父さんと好きな鉄道写真を撮りに行くところ」だったそうです。
それを聞くと、逆に可哀そうに思えてきましたよ。
しかし面白いことに、相手の車は後輪周りがグチャグチャ大破した状態だったにもかかわらず、僕の車の接触箇所には、軽くスジが付いている程度です。
それはなぜかと言うと、この車はBMWの中でも、かなり巨大なSUVなのです。
車体重量は2.5トン以上もあるので、1トンそこそこの乗用車にぶつかっても跳ね飛ばすほどの重量差。
しかもボディサイドは鉄板ではなく、FRP樹脂だったので、ぶつかって凹んでも、また膨らんで復活したみたいです。それでわずかな傷しか残ってない。
確かにタイヤハウスの中のリベット(留め具)は、多くがはじけ飛んで失くなっていましたが。
でもドアミラーはカバーが少しズレていても、手で簡単に直せましたし、タイヤのアルミホイールには明らかなキズが付いていましたが、家に交換用のアルミホールを別に持っていたので、(まあいいか)と思いました。
だから僕はその場で「お互いに穏便に済ませましょう」と話して、その日は別れました。

困ったのはそれからです。
当然、愛車を車の修理工場に持って行きました。
大して修理するところなんかなかったのですが、一週間後の車検で予約をしていたのでちょうどよかったのです。
そこに相手の保険の調査員さんがやって来て、事故の損害を査定したところ、115万円の修理補償になると言うのです。
「ちょっと待って、見た目はどうってことないのに、そんなにかかるものなの?」
最初に思い浮かんだのは、(加害者さんに申し訳ない)ということでした。まるで吹っ掛けたように思われないかと心配しました。
その程度のキズで・・・これが高級車ってやつなんですね。金額的に実感したのは初めてです。
でももうこの車、10万キロ以上乗ってますし、100万円以上かけて外装補修するなんて意味ないし。
それなら、「修理したくないので、現金で支払ってくれるなら、いくらもらえますか?」
「現金なら80万円です」
「それでいいです」と交渉成立です。
もう新しい車に乗り換えようと思いました。

ところがどっこい!
現金で補償してもらうと決まったにもかかわらず、車の修理屋さんは、勝手に先走って車検を通してしまっていたのです。
今更、無しにはできないってこと。
それじゃ乗り換えはやめて、振り込まれる80万、まる儲けで貰っとこうか。
いや、せっかくだから、その車の消耗部品を全取っかえしてしまおう。どうせ貰ったお金だもん。
ところがリフレッシュしようとすると、意外に破損個所の範囲が広く、次から次に気になる箇所が見つかります。
結局、2か月以上かけて、足回りのサスペンション関係の部品交換。駆動系のセンサー交換。ヘッドライトを新品LEDに換装。エンジン始動のスターター関係交換、その他もろもろ、修理屋さんが思いつくところを適当に見繕って、車検費用込みで合計105万円かかりました。
つまり、保険金80万+自己費用たった25万円で、機能完全リフレッシュして戻って来たんでよかったですが、キズは残したまま。
その後の試し運転は最高! 本当に走りがよくなって、足回りの異音とかも消えて、きびきびした感じに。
ボディのキズは自分で磨いて消しました。

その頃、部下の事故補償はと言うと、相手の会社と交渉をしていたそうですが、
「うちだってトラックが無くなって困ってる」と言われたそうです。
そのうちにブラジル人とも連絡が取れない状態が続き、今更どうしようかと悩んでいました。
裁判するにも、査定価格50万円くらいの軽自動車では大変そう。しかも弁護士は自分で契約する以外ないそうです。
もう泣き寝入りされると思います。
(それに比べたら、僕はいつも付いてるな)って思わないわけにはいきません。

僕は早速、妻とその修理した車で、ドライブ旅行することにしました。土佐の高知まで二泊三日で観光して来たのです。
嬉しい、楽しい、美味しい思い出が出来て、車の修理で3ヶ月近く待った甲斐がありました。

ところがハッピーエンドとは行かず、帰りの高速道路で突然、『★バチッ!』と音がしました。
飛び石がフロントガラスに当たったんです。
どこから飛んできたのか分かりませんが、助手席側のガラスの端っこにわずか5㎜ほどのキズが。
大金かけた車が戻って来て、まだたった一週間です。運転しながら気分が下がりました。
でもそのまま運転して帰宅したのですが、翌日見ると、傷が広がって10センチほどのヒビになっていました。更に気分が下がります。
(神様何とかして~)と思いました。でも、そんなことでは許してくれませんでした。
それから毎日少しずつヒビは広がり、最終的には30センチくらいのL字のヒビとなりました。
日々広がるヒビに、びびって笑えません。ひっひっビッビ(笑)
修理屋に見積もりを聞くと、フロントガラスの交換、35万円だそうです。

どんな事故でも、得するなんて虫のいい話はないですね。
これらのネタを、次回の交通安全資料に使うことにします。


     つづく