叶わぬ夢
進学と結婚 その1
私の若い頃といえば、ひと昔ということになる。ひと昔前、花の二十代に、私は希望の大学に行けなかった。合格するのはほぼ間違いないピアノの実力だったのだが、受験の為家を出る前に突然行けなくなったのだ。
母はその日のことを、出口の前に鳩が死んでいたと言っていた。
同級生は全員といって良いほど希望の大学に合格し、卒業してそれぞれ専門の職業に就いていることを後に知った。
滑り止めに受けた地元の大学には辛うじて受験できたので入学はしていたものの、大学の留年期限が切れるまで在学していたが、登校することはなかった。