叶わぬ夢
外国 その1
最近観たいものが変わって来た。
若いときも中年になっても行きたいとか知りたいとか思わなかった外国のこと。無理に現地まで行かなくても良いのだが識りたいという意欲が湧いている。
夫が倒れる前、丁度定年で職場を退職する一年前に格安でオーストラリアの旅行へ行く機会があった。夫婦で行ける恰好の機会だったので誘われたが、旅に出る勇気がなかった私は理由もなく断った。
夫はもしあの時身体が悪くならなければオーストラリアへ行ったと思う。
その数年前に夫はインドネシアの旅にも参加していた。職場で時々眩暈がすると言ってたが恐れることなく出かけて、珍しい石造りの前で写真を撮っている。
私への土産には錫のネックレスやハート型の金の枠に小さいダイヤが吊ってあるペンダント、私の好きな布類のハンカチやアジア特有の模様の広い布などを買って来た。
今思い出すのは病気してから暴言を吐いたり病院へ救急車で運ばれたりしたことばかりだが、それ以前は少しは私のことも認識していたのかなと思う。