小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ゴーストハンター ジャスティス

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「ちくしょう、大変なことになったぜ」
 スーツと革靴は走るのに適さないが、それでも走るしかなかった。整った顔が焦りで歪んだ。
 彼は、ゴーストハンタージャスティス。コンクリートジャングルに出現する霊獣人から市民を守るために戦う、正義の味方である。
 と、急ぐ彼の耳に、突然と悲鳴が届いた。
「きゃあああああっ! 誰かあっ!」
 ジャスティスが向かう先とは別方向からの、突然の悲鳴である。若い女性のもののようだ。
「クソッ! 緊急が重なりやがる」
 ジャスティスは戸惑った。が、ジャスティスが長く悩むことは決して無かった。ジャスティスには妹がいた。いたが、殺されて失っていた。それは霊獣人のせいだったが、かつてのジャスティス自身の判断と行動の遅さのせいでもあった。以来ジャスティスは、この記憶から逃れられたことが無かったのだ。
 ジャスティスが悲鳴の現場に駆け付けると、果たして霊獣人モモンガーが若い女性に襲いかかろうというところであった。
「辞めろ!」
 ジャスティスが叫ぶと、賊は落ち着き払った声で言った。
「ほほう。おまえが噂の、ゴーストハンタージャスティスか」
 ジャスティスはファイティングポーズを取って答えた。
「テメー忙しいのに余計なことしくさってひねり潰すぞこのドブうんこ肉人形が」
「何かおまえ口悪過ぎない!?」
「うるせー馬鹿!」
 そして女性の面前で、戦いの火ぶたが切って落とされた。
 さて、大口を叩いたジャスティスだったが、打ち合いは賊の優勢であった。
「フハハハ、弱い弱い、おまえはこの程度か」
 賊の嘲笑に、ジャスティスが顔をひきつらせた。ステップワークもあまり通用していない。
 そして再び打ち合いになったが、雄叫びを上げるやジャスティスの動きがよくなり、賊は「嘘だろオイ、嘘だろオイ」とつぶやくうちに遂にみぞおちに突きを深く入れられて激しく吐瀉。ふらつくところで更に回し蹴りをこめかみに入れられ、賊は倒れて動かなくなった。
「あ、あのう……ありがとうございました」
 ファイティングポーズを解いたジャスティスに、女性が話しかけた。
「よかったら、お礼に、これからお食事でもご一緒しませんか? もちろん私持ちですから……」
 華麗な活躍をした美男子ジャスティスは、熱視線を送られ、黙ってこの女性を見つめ返した。
「あ、すみません。お忙しいんでしたっけ」
「いや、それはいいんだ」
 ジャスティスは続けて言った。
「お礼なら、替えのズボンとトランクスを買ってきてくれないか。ウェストは七十七……」

(了)