人生の織物
その2
なんとか中学を終えて高校に入学すると、自分よりはるかに優秀な生徒がそこら中に居た。当時はまだ男の子と話すことはなかったが、その子達の中で切磋琢磨して三年間勉強できることがとてもうれしかった。
私は音大を目指していたので、一般の学科は試験の時に頑張るのと、英語の宿題を真面目にしたぐらいだった。家に帰ると独りで過ごした。ピアノを練習し、勉強は必要な分だけ早々に仕上げ、実に早い時間に寝ていた。
楽しみといえば、ピアノの発表会で人前で弾けることぐらいだった。高校の友達は一人か二人いたように思う。男子と話した記憶はない。そんな単調な高校生活だったにもかかわらず、その後の辛い、苦労のことを思えば、今では人生で一番幸せだった、夢を持って過ごした三年間だった。