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愛情

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高齢期の分かれ道 その1



60代は40から50代の中年気分の続きで生活形態を維持している。
私は夫が59歳で倒れたので心労も多く血圧が高くなったけれど、相当ハードな生活をこなしていた。ひと月に一度ぐらいの割合で四国と関西の家を行き来して、どちらに居ても心身共に休まらない状態であったにもかかわらず病気をすることもなく過ごしていた。

一般的な話になるが、人は70代から80代にかけて生き様が別れると言われる。
先日親しい友人と或ることで電話で長話をした。教えたり教えられたりして互いの貴重な時間だったにもかかわらず、夜遅くに電話を切るとき、楽しかったと言ってもらった。
彼女を知ってからかれこれ30年になるが、個人的に交流が始まったのは彼女に誘われて入会した生活勉強会を退会して暫く経ってのことだ。

数年経ち、ふたたび彼女に誘われて美容グループの仲間となり、月一回のお手入れ兼食事会への行き帰り車に同乗させてもらっていたので、彼女とは時々個人的にも会食したり双方お馴染みのブティックで洋服を見たりしていたが、その内料理では指導的立場にある彼女からの差し入れがあるようになった。

私も庭で柑橘や梅、桃などが採れる時期になるとまず彼女に知らせた。食に関しては何でも来いの彼女の腕によってその材料は見事な製品となり私宅にも届けられた。私の身体が弱っていることを知れば工夫された総菜が届けられることもある。
私は彼女と話していると元気をもらう。それはお互いが精進し尊重し合っているからだと思っている。話の内容は全く別の分野なので初めて聞く話題は勉強になる。
このように長く不快な思いもせずお付き合いができるというのも、お互いが自分の生き方のジャンルをしっかり持っていてそのことを自負しているからだ。
私のやってることはあくまでも趣味の域で、しかもネットの中での作業なので、知る者だけが知る引き篭もりか蜻蛉のような存在だが、彼女は大勢の会員の中で活動していて、有名人と囁いている連中もいるぐらいだ。

以上述べて来たことは高年期を満喫している話である。

作品名:愛情 作家名:笹峰霧子