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駆け出し霊能力者

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少女時代から霊感の持ち主だと自負していた彼女。
 長じて霊能力者としてビジネスをスタートさせることとし、既にホームページも公開、自作のチラシも近所に配布した。
「あなたのお悩みを霊能力者が解決! 見えない姿を私が見て、聞こえない声を私が聞きます。丁寧な対応と安心の料金。まずはお問い合わせを。連絡先は……」
 悩みをばっさばっさと解決、そのうちに美人すぎる霊能力者として取材も!? などと思いながら、彼女は電話が鳴るのを待った。
 初日も待った。その翌日も待った。

           *           *

 それから一週間後。
「今日はどうしましたか?」
 初老の男性が尋ねると、若い女性が疲れたように答えた。
「はい先生。聞こえない音が聞こえるんです」
「と言うと?」
「私の仕事用のスマートフォンが、鳴ってないのに鳴ったように感じることがたびたびあるんです」
 彼女の話を一通り聞いた後、初老の精神科医は答えた。
「普通に経営が下手です」

(了)
作品名:駆け出し霊能力者 作家名:Dewdrop