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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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ちょっと高すぎたのではないか

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 「検食」が終わると、主な業務は終了したような気持になるが、まだまだ仕事は残っている。
8時ごろからゆっくり時間をかけて、全病棟の巡視をする。
今日の当直師長は、前に一度、一緒に当直した事のある人だ。
ゆったりした物腰で、品のいい人だ。
私より先を歩かない奥ゆかしい人だ。こういうタイプの人は最近極めて珍しい。
若い看護師に対する態度も穏やかである。

 ゆっくりゆっくりまわったので、今日はさぞ時間がかかったろうと思ったが、意外なことに、45分ですんだ。
いつもより15分も早い。「急がばまわれ」なのだ。
何事もセカセカしないほうが能率は上がる。
今日の看護師長が、ほとんど余計なことを言わなかったせいだろう。私も彼女を見習って、余計な事も必要なことも喋らなかった。