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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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ちょっと高すぎたのではないか

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 今日の看護師長はアクティブなタイプだった。ふつうに言うと、落ち着きのない人だった。
チョコチョコ前を行く彼女の後をついてゆくと、突然ドンと突き上げられるような衝撃を感じた。

〈地震だ!〉
と思った瞬間、病室から、医者、ナース、元気な患者さん(元気でない人は寝たきり)が飛び出してきた。
階段に向かって走った人もいた。
エレベーターは停止していた。

 私は逃げたかった。
しかし、「院長」だ。患者さんより先に逃げるわけにゆかない。
先を急ぐ看護師長に、
「飛び出すな地震は急に止まらない」と告げて、階段を降りた。
〈すぐに、災害対策本部を設置しなければならない〉と思った。
しかし、テレビでは「震度3」とでていた。
震度6ぐらいに感じられたが、一〇階にいたせいかもしれない。

〈今夜はきっと、大事件が起こるだろう〉と覚悟して当直室のベッドに入った。
救急車の「ピーポ、ピーポ」が聞こえるたびに緊張感を覚えた。
しかし、その後地面が揺れることはなかったらしく、私は静かな朝を迎えた。 
♪チャンチャン♪