帰りの電車で人身事故だった
『刑務所の中』をみた
『刑務所の中』をみた、といっても刑務所を見学したわけではない。
『刑務所の中』という映画をDVDで観たのである。
私は今まで、警察や税務署には行ったことがあるが、刑務所には入ったことがない。
警察も税務署も楽しいところではなかったが、刑務所はもっと楽しくないだろうと思う。
以前の話だが、出身大学の医局員名簿をみて驚いたことがある。
S君という十年ぐらい後輩の「現在の所属」だった。
たいていの人は、「○○大学病院○○科」とか、「△△医院開業」などと書いているが、S君の所属は「□□刑務所」だった。
〈エッ、刑務所? Sが?・・・ そんなことがあるだろうか? でも・・・・・〉
私はS君の顔を思い出した。
〈そうか、あの男のことだから、もしかすると・・・〉と思った。
実際には、S君は、□□刑務所で、医者として受刑者のために働いていたのである。S君には申しわけなかった。
作品名:帰りの電車で人身事故だった 作家名:ヤブ田玄白