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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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帰りの電車で人身事故だった

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困った時はお互いに助け合おう



 私の科もマンパワー不足になった。
昨年十二月まで働いてくれた高齢の非常勤の医者が病院に通えなくなって退職したのだ。
医者が病院に通えなくなると大変だ。(患者さんなら往診するという方法もある)
私が病院で使ってもらっているのは、病院に通えるからだ。
病院に着いてからも大事だが、病院に通えることはもっと重要だろう。

 その高齢の医者は、いろいろ役に立っていたようだ。
今回辞められてみて、そのことがよくわかった。大切なものは、失ってはじめてわかる。
後任を探さなければならないが、すぐに新しい医者を雇うのは難しい。
しばらく、他の科の医者に助けてもらおうと思った。

 こういう時は院長に相談するしかない。
「赤字部門再建会議」以来、足が遠のいていたが、勇気を出して院長室に出かけた。

 院長はシブイ顔になった。
院長がシブクなっても、私は引き下がるわけにいかない。私も「シブイ男」と言われているから、いい勝負なのだ。
「マア、やってみましょう」と引き受けてくれた。そうしないと、いつまでも私が院長室にいると思ったのだろう。