帰りの電車で人身事故だった
お金のことをいろいろ言われているうちに、だんだん私は気分が悪くなった。
話し合いは苦手である。
だいたい、皆最初から、「ヤブ田はどうせ何も反論できない」と、バカにしているのだ。
私はついに我慢しきれなくなって、キレてしまった。珍しい事もある。
「黙って聞いてれば、いい気になって。フザケンナ!
人もよこさない、モノも買ってくれない。もっと働け、収益上げろって、人を動物みたいに使いやがって。
ウチの猫みてみろ。猫のほうがいいぞ。働いたらちゃんと飯食わしてもらってるから。
そういえば、私もメシだけは食っている。失礼しました。
ともかく、こんなひどい条件で、黒字にしろったって無理だろう。そんなに言うなら、自分でやってみろ!」
おとなしい私が、ついに正義のために立ち上がったのだ。
出席者一同、青ざめたようだった。
無言のまま、重い空気が流れた。
私は静かに席を立ち、そのまま自室に戻ったのである。
作品名:帰りの電車で人身事故だった 作家名:ヤブ田玄白