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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「産業医」の研修会に行った

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 午後のテーマは、「スーパーマーケット従業員の作業安全」についてだった。
〈丸刃スライサー〉という回転式円盤ノコギリで肉を切る作業では、うっかり自分の肉を切ってしまうこともあるそうだ。スーパーで肉を買うときは、十分確認する必要がある。

 講師は午前と別の人だったが、私は同じように控え目な態度で臨んだ。
隣の席の医者は、ニコニコしながら喋っていた。
そのせいだろう。彼がリーダーに指名された。
ところが、発表者が決まらなかった。
全員、「午前中に発表を終えた」と言っていた。
嘘つきもいたはずだが、ウソ発見器はない。
困ったリーダーは、下を向いて黙っている私に、「先生、よろしいですか?」と声をかけた。

 私はギョッとした。「いやです」と断りたかった。
しかし、ここで拒否したら、「あの医者はグループワークの間、ずっと下を向いていた。控え目な性格かもしれないが、発表を断ったところをみると、病気かもしれない」と疑われた可能性がある。
私の病院にそういう連絡が来ないとも限らない。仕方なく「ハイ」と答えた。