続 金曜の夜、人間は二つに分かれる
それにしても、あのお父さん、明日休みでない人が、車内にいることを知らないのだろうか。
帰宅するまで、もう少し辛抱してもらいたいと思ったが、家では飲ませてもらえないのかもしれない。
事情はいろいろあるだろうが、周囲(特に明日休みでない人)に対して、もう少し配慮がほしい。
駅を降りてしばらく行くと、タコ焼き屋のおじさんが外を見ていた。
最近床屋に行ったのだろうか、さっぱりしている。
外は寒いが、中は暖かいのだろう。
まだ準備中らしく、お客さんはいなかった。
おじさんも、明日休みでない人だろう。
全然知らない人なのだが、何となく他人とは思えない。
家に帰ると猫が待っていた。
私は「ただいま」と言っただけだったが、明日休みでないことがわかったのかもしれない。
寂しそうな顔に見えた。
作品名:続 金曜の夜、人間は二つに分かれる 作家名:ヤブ田玄白