蝶
この身体に染み付いた汚れを落とす方法を。
幾度となく強く擦り、強い言葉で洗い続けてきたこの身体は既に小さい。
まだ汚れてる、まだ汚れてる。
許されない、許さない。
白く清く正しく美しく滑らかで朗らかで気高く。
その運命に従って生きている。
餌を食み、時を繋ぐ。
人生という名の海は先が見えない。
私に与えられている船は大きく、時に小さい。
私の持つオールはスプーンの様にか細く、時に内燃機関の様に心強い。
しかしこの船に帆はなく自然に進むことはない、波に揺られ、揺られ、揺れている。
偶に吹く風は強く、導もないここは進むべき路さえ分からない。
進みたい先と、進める先は同じであり、別であったのだろう。
何処から来たのか、どこで終わるのか。
私の形として残るはこの詩でもなく、終わりを示す診断書。
この旅に意味はなく、ほんの初めの甲高い声と最後の一呼吸が全てを決める。