カンチューハイを車内で飲む男
出席者はなんと三〇〇人ぐらいだった
製薬会社の社員が多い。薬関係で結びついているのだろう。
医学界は今もこういう体質が変わらない。
会場に入ると、ステージの前に、五つぐらい丸テーブルがあって、そこは偉い人の指定席だった。
私はその他大勢、立ち見だ。
同じ会費を払っているのに、なぜ違うのだろう。電車では優先席なのだが。
私より若い人も丸テーブルについているから、年齢とは関係ないらしい。
大学の教授とか、大病院の院長にならないと、指定席は無理なのだろう。
何かとっても、世の中の矛盾というか、不合理を感じた。
会は始まり、偉い人が五人ぐらい、Т君のことを褒めそやした。
奥さんもついでに誉められていた。
Т君はあんなに身に覚えのない事で誉められて、気持ち悪くないのだろうか。
作品名:カンチューハイを車内で飲む男 作家名:ヤブ田玄白