カンチューハイを車内で飲む男
部屋に戻ると、麻酔が覚めてきた。
唇が腫れて痛い。
鏡を見ると、下唇が裂けて、血が出ていた。
部長は私よりはるかに背が高いが、手も大きかった。
私の口にようやく入るぐらいだ。女性の口には入らないかもしれない。
私は出来るだけ部長に協力しようと思って、口が裂けそうなほど思い切り口を開けていたが、本当に裂けるとは思わなかった。
診療が終わると、部長から「治療計画書」をもらったが、期間は1―2ヶ月と書いてあった。
治療内容の欄は、達筆すぎて読めなかったが、次回はどうなるのだろう?
作品名:カンチューハイを車内で飲む男 作家名:ヤブ田玄白