カンチューハイを車内で飲む男
こういうパーティで、急に元気になる医者がいる。
昼間ほとんど眠っているのだろう。
お皿にこぼれそうなほど料理を取って、次々に相手を見つけながら人波をかき分けている。
ふだん、ろくなものを食べていないのがすぐわかる。
こういう人が学会に出席する目的の九十%はパーティにあると思われる。
アルコールが入ると、どんなに偉い人でも話題は人並みのことになる。
ゴルフやマージャンが好きだったりして私と大差ないことが分かる。
しかし、野球の話になって、その医者が○○ファンだったりすると少しがっかりする。
○○ファンはたいてい私のひいきにしているチームを敵視するので、私に対して、昼間以上に鋭い質問を浴びせたりする。
しかし、そこに△△ファンや□□ファンが来ると、敵対関係はうやむやになって、丸く収まる。
今回は、北海道だったので、皆で「ビッグボス」や「日本ハム」を応援することにして、事なきを得た。
学会のパーティには、学問以外の難しい要素も含まれている。
作品名:カンチューハイを車内で飲む男 作家名:ヤブ田玄白