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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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カンチューハイを車内で飲む男

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席をゆずられた



 自分が幾つぐらいに見られるかは、とても関心がある。
変わった性格なのかもしれないが、老けて見られるより、若く見られると嬉しい。

 先日の日曜日、東京の寄席に出かけた。
窓口で「シルバー一枚」と言った。(この寄席は、「一般」に比べて、「シルバー」は五〇〇円安い)
窓越しに受付の男は、
「証明書見せて」と言った。
私は用意していた運転免許証を差し出した。
形式的なことだと思っていたのだ。

 ところが、その係員は、私の顔と免許証の写真を何度も見比べていた。
免許証には、三年ぐらい前撮った眼鏡をかけた写真が貼ってある。
実物は眼鏡なしなので、紛らわしかったのだろう。
私は、本人確認のため、さらに戸籍謄本、住民票などが必要なのかと心配したが、係員は忙しいらしく、黙ってチケットを渡してくれた。
渡してはくれたが、シルバーであることに、微かな疑念を抱かれたことは事実である。