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忘れられない人たち

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バーチャルのともだち⑤


最後のメールが来てから数日後、奧さんと息子さんの連名で、昨日息を引き取りました、今までのお付き合いを心から感謝しますとの丁寧な文面のメールが来た。多分彼が残していた付き合いの人への連絡だったのだろう。

49日が過ぎて、ラインが来た。お墓ができたので送らせていただきますという文とレンガ色の立派なお墓の写真だった。
こちらに来られたときはお参りしてやってください、忘れないでやってくださいと、お墓への行く道筋の地図の写真も添えられていた。

その後、ラインをとめますとの連絡があったが、止めるまでの私とのやりとりは今も消えていない。SNSでの彼の日記もそのまま残っている。

私は食事を作りながらぽろぽろ涙を流しながら思い出していた。写真でしか知らない彼の顔、彼の住んでいるアパートの部屋しか知らなかった。
ともだちと一緒の飲み屋での写真や、ツーリングでの景色の写真、ただそれだけの情報なのに何故かこれまでの友人たちの中で一番心に残っている。
あの世に旅立った、すこぶる健康だと思っていた若い人の死はやはり悲しい。
私はこれからもずっと彼のことは忘れないだろう。ありがとうWさん。


 完
作品名:忘れられない人たち 作家名:笹峰霧子