最後の「夜間院長」だった
それでも、私が勤務医を選んだのは、私の出身校の医者は、開業しても繁盛しないと聞いたからだ。
客商売に向かない人が多い。
私はこう見えても研究者肌だ。
研究者として世に出ようと思って大学に残った。
しかし、やってみると、客商売に向かないだけでなく研究者にも向かないことがわかった。
もしかすると、医者にも向かないのかもしれないが、人間に向かないと言われた事は一度もないのは誇りに思う。
勤務医はサラリーマンなので、医者の仕事以外に、職場の人間関係のストレスが貯まりやすい。
そればかりか最近は膝にも水が貯まる。
ストレスと水は貯まるのに、金はちっとも貯まらないのはどういうわけだろうか。
作品名:最後の「夜間院長」だった 作家名:ヤブ田玄白