最後の「夜間院長」だった
私たちは、動かない電車の中に一時間以上いた。
その間、生産的な事は何もできなかった。
ふだんも生産的なことはあまりしていないが、こうなると、無性に「何かしたい」という欲求が起こってくる。
極限状況に追い込まれた人間の本能なのだろう。
一時間遅れて病院に着いた。
いつもの患者さんが待っていた。
待ちくたびれたためだろうか、私が無事到着しても、それほど感動した様子はなかった。
診療が終わり、職員食堂に駆け込んだが、終わっていた。
楽しみにしていたエビ天丼(三五〇円)を食べ損ねた。
私は近くのマックで、一〇〇円のハンバーガーとSサイズのコークを注文した。
人身事故の影響は大きい。
作品名:最後の「夜間院長」だった 作家名:ヤブ田玄白