小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

故郷へ帰った (二)

INDEX|126ページ/167ページ|

次のページ前のページ
 

 その話を同僚のSにすると、たいへんショックを受けたようだった。
「そうなんだ。驚いたヨ」と言うと、
「ほんとに? 生まれて初めてなのか? 信じられないなあ」
と答が返ってきた。私は言わなければよかったと後悔した。

 その日を境に、私の人生に転機が訪れた。
翌朝から、バスの優先席にすすんで腰かけるようになった。
私が腰かけても誰も文句を言わないのが新鮮な驚きだった。
周囲の人たちから暖かい眼差しで見守られていることを実感できるようになった。

「我慢しない人生もいいものだ」
と思いながら毎日を暮らしている。
ただ、今のところ「我慢しない人生」は、バスと電車の中だけである。
院長や看護師長の前で実現されるまでには、だいぶ時間がかかるだろう。