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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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故郷へ帰った (二)

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〈そうだ、部長にみてもらおう。ゆうべ、丁寧にお礼を言っておいたから、急患でも診てくれるだろう〉
ほうぼうに電話をかけたが、病院内に部長はいなかった。
二日酔いで、家で寝ているのだろうか?

 歯科外来に行った。
「急に歯が痛くなったのですが、診ていただけないでしょうか?」
と受付で尋ねた。
受付の女性は親切そうな人だった。

 「W先生でよろしいでしょうか?」と答えた。
私がずっと、部長に診てもらっているのを知っているので、部長のかわりに、副部長のW先生でもいいか、と念を押したのである。
私に敬意を払っている証拠だ。
この科は、末端まで教育が行き届いている。
科によってはそうでもないのだ。
私が行ってもまったく相手にしてくれない科もある。産婦人科や小児科だ。

 私は、部長に世話になる前は、W先生をかかりつけにしていた。
W先生は、小柄で偉そうに見えないが、親切で腕もいい歯科医だ。
私は、「もちろんいいですよ。お願いします」と言った。