故郷へ帰った (一)
「検食院長」なのか
一ヶ月ぶりの「夜間院長」だった。
先日、「赤字部門再建」の会議に呼び出されたので、「院長」は当分免除されると思ったが、そうではなかった。私はやはり、期待されているのだろうか。
前回は、膝を痛めていたが、今日は膝の調子もいい。
患者さんが脱走しても追いかけられる自信がある。私が脱走すれば、誰も追いつかないだろう。
久しぶりのせいか、引き継ぎ前から緊張感が高まっている。
何かが起こりそうだ。今日こそ、「検食」だけで終わることはないだろう。
作品名:故郷へ帰った (一) 作家名:ヤブ田玄白