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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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故郷へ帰った (一)

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言葉も頭もはっきりしなくなった



 月曜日の人間ドックは、神経が疲れる。
その日は寝不足で、診療の前から疲れていた。
頭もボーっとしていた。

 お昼を過ぎて、最後の人になった。
バリっとしたジャケットに眼鏡を光らせた五〇過ぎの男性だった。
一流会社の社員だろう。
あいさつ抜きで入ってきたが、見るからに、一流企業社員としてのほこりを、全身にかぶって(ではなく、みなぎらせて)腰を下ろした。

 私は腹が減っていた。口を開くのがようやくだった。
「こんにちは。エー、○本さんは、現在、病院にかかっていることはありますか?」(面接の最初の決まり文句だ)
男は、意外なことに、私に鋭い視線を向けた。やや強い口調で、
「ないですよ」と答えた。

 「ハア、そうですか。それでは、今日の結果をご説明させていただきます。
今日の○本さんの結果ですけどね。」
すると、彼は言った。声に怒りがあふれていた。
 「△山ですけど。」