あの日、あの夏、あの子に向けて
ツバサ『唯一、お祭りに行かなかったあの日。あの夏、俺はこれから先、ずっと、アオイを守って行く。そう決めた、決めたはずだったのに……来年の夏、この場所にアオイはいない』
アオイ「ツバサ! 次が最後だって!! すーっごく、大きいのがあがるんだって!!!」
ツバサ『花火の音すらかき消す、アオイの元気な声で現実へと引き戻される』
アオイ「……ねぇ、ツバサ……」
ツバサ「なんだ?」
アオイ「来年も、二人でここに来たかったね」
ツバサ「っつ!!」
ツバサ『そう言って笑うアオイの笑顔がどこか寂しそうで、思わずアオイを抱きしめる』
アオイ「えっ!? つっ、ツバサ?」
ツバサ『......伝えるなら、きっと、これが最後のチャンスだ。アオイの顔が見えるように、抱きしめていた体を少しだけ離す』
ツバサ「アオイ! 俺!! お前のことがーー!!!」
できる限り、ふたり同じ被せる感じで(難しいとは思いますが、理想は息合わせて同時ぐらい)
ツバサ『その時、一際大きな華が夜空に咲いた』
アオイ『その時、一際大きな華が夜空に咲いた』
ふたり声が被さる感じ(可能であれば、同時)
ツバサ『そして、あの日、あの夏、アオイに向けて放とうとした俺の打ち上げ花火は、アオイの柔らかい唇で塞がれ不発に終わった』
作品名:あの日、あの夏、あの子に向けて 作家名:小泉太良