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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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通勤電車に詩人がいる

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 助手は慎重に注射部位を確認して、針を刺した。
あまり痛くない。助手は慣れてないようだ。
注射器がブルブル震えているのがよくわかった。
それでもまもなく麻酔が効いて、唇が痺れて感覚がなくなった。

 完全に麻酔がかかるまでの時間、助手は歯の掃除をしてくれた。
先の細い高速回転ヤスリで歯のアカを除去して同時に水で洗い吸引する。
助手はそれが得意のようだった。あるいは趣味かもしれなかった。

 長い時間続けるので、私はノドの奥が疲れた。
水が気管に入りそうになると自然にノドがゴクっと動く。
それを見て、部長は助手に
「うがいさせて」と命令した。
命令がなければ、気がすむまで、掃除を続けたのだろうか。

 すっかり麻酔が効いて、いよいよ神経を抜いた。
麻酔のお陰だろう、大して痛くなかった。
そのあと部長は、いろんなものを、欠けた歯の隙間に詰めた。
かなりの力を込めていた。治療は無事終了した。