困った時はお互いに助け合おう
私はもともと電子カルテが嫌いだ。
一番の理由は患者さんの顔を見る時間が少なくなることだ(厳密には、好きなタイプの患者さんの顔を見る時間が少なくなるからだ)。
患者さんだって、口には出さないが、
「コンピューターと私とどっちが大事なの?」と聞きたくなるだろう。
そう聞かれても、私は即座に
「それは貴方のほうが大事にきまってますヨ」
と余裕を持って答える自信がある。
ふだん院長から、「仕事とゴルフ、どっちが大事なんですか?」など、難しい質問でトレーニングされているから、この程度の質問に答えるのは簡単だ。
それに、電子カルテは紙カルテに比べると、意外に不便だ。
重要な診療情報を探すのに手間がかかる。
紙カルテは本と同じで、一度読むと、どのへんに何が書いてあるか、大体分かるが、電子カルテは、トイレットペーパーと同じで、しばらく引っ張り出さないと重要な情報にたどり着けない。
電子カルテには良い点ももちろんあるが、まだまだこれから工夫が必要だ。
作品名:困った時はお互いに助け合おう 作家名:ヤブ田玄白