2002年6 月、Wサッカー開催中の頃
日韓Wカップサッカー開催中、日本が決勝トーナメント進出
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◆6月8日/サッカーWカップ…予選リーグ真っ最中
今、サッカーWカップ・EグループのイタリアVSクロアチアを見ながらこの文章を書いていますが、本当にこの期間はニュースもサッカーを中心に回っている感じで、まさにお祭りそのもの。オッと、イタリアのビエリがヘディングで1点入れた!!
Wカップが何故こんなに話題になるのか、人々が熱中するのか…世の中の煩わしさを忘れさせてくれる素晴らしいイベントが存在するのを再認識させられます。プレイしている選手達は大変でしょうが…。
見ている途中でビールを飲んでいると、クロアチアが何と3分くらいの間に2点を入れてアッという間の逆転。野球と違って全く目を離せない展開の目まぐるしさがサッカーの人気の秘密かも知れません。
たった今、イタリアの同点ゴールか…と思いきや何とオフサイドの判定。微妙な判定が問題になりそうな場面でしたが、しかし審判に文句を言えばイエローカードと言う切り札があってレフェリーの権威が保たれています。
そんなこんな思っているうちに優勝候補のイタリアが負けてしまいました。Aグループのフランス同様、前評判とは異なる最終結果が期待出来るようです。
クロアチアと言えば、前回のフランス大会で3位になった国。どちらかと言えばそんなに話題にものぼらないチームでしょうが、実は数年前の紛争でサッカーどころではなかった時期がありました。
しかも若い人達も戦禍に巻き込まれて、人気のサッカー選手で戦死したメンバーもいたとか。今大会の同国の選手年齢が高いのも、そんな事情もあるようです。
アルゼンチンも未曾有の不況の中で参加しています。世界各地の国々の事情があるだけに、それらを忘れて試合と言うイベントだけに目を向けてはいられない部分もありますが、そんなことを言わせない迫力とスピードと選手のひたむきさが、世界中の人気を支えています。
そして明日は、日本VSロシアの試合。先のベルギー戦がTV視聴率58%ほどだったので、日曜日でもあり恐らく70%近くまで高まるのではないでしょうか。
スポーツ番組の過去最高視聴率は、東京五輪・女子バレーボール決勝戦の、確か68%だったと思います。それと同等になるのは間違いないでしょう。当時とは違い、番組の選択肢が多い中でそんな視聴率になれば、とんでもない関心事となり「日本人の一体化」に大きく貢献することになります。
醜悪な政治のニュースからひと時でも離れた爽快さが、蒸し暑さを忘れさせてくれているようです。
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◆6月16日/『番狂わせ』なのか『順当』なのか…
6月14日の金曜日は、日本スポーツの歴史において記念すべき日になりました。勿論、サッカーWカップの決勝トーナメントに日本が進出決定のこと。
東京オリンピックやプロ野球などの色々な名場面が思い浮かべられる中で、ここまで日本国中が熱狂したことがあったでしょうか。サッカーのレベルが高いとか低いとか言う前に、世界中の国同士の威信がかかっている…といっても過言ではないイベントです。
フランスやアルゼンチンなど強豪国が敗退する中で、出来過ぎのような日韓両国の予選突破は、はたして番狂わせかどうなのか。まるでシナリオがあったかのような出来事ではあります。
アジア初の開催で、しかも初めての2カ国共催。過去において主催国が決勝トーナメント進出をはずした事がなく、サッカーではアジアは世界的にレベルが低いと見られている中での日本・韓国ともに進出したのは快挙でしょう。
アジアは人口や国の数では相当数なのに、予選枠はたったの4ヶ国。予選免除のルールで無条件に日韓両国は出場出来たのですが、あおりを食ってアジアの他の国はサウジアラビアと中国の2つだけなのは気の毒でした。
時として日本高校野球の選抜大会を思い出します。全国32チームの振り分けを見れば、近畿7、関東5+東京2…それに対して、北海道・東北3。地域性とか学校の数で言えば、不公平感は強い。野球のレベルでの振り分けなのか、別の理由なのか、説明が必要ではないかと思います。
確かに高校野球大会では全国優勝チームが、東北・北海道からは出ていません。それは夏の大会はともかく、春の選抜の出場校数にも起因すると思います。
そしてサッカーは全世界共通の関心事ではありますが、唯一、米国はそうでもなさそうです。もちろんその他のスポーツが盛沢山で、スポーツでも大国なのは間違いないところですが、Wカップ予選突破については米国ではあまりニュースにはなっていなかったようです。
アメフト、野球、バスケット、アイスホッケー、そしてゴルフ。米国の人気スポーツは、実はそれほど世界的なメジャースポーツではないことが分かります。アメリカ中心のイベント性が強い。サッカーでは8年前のWカップの米国開催でやっと本格的なクラブチームが出来ているくらいです。
京都議定書の遵守拒否や、世界の警察気取りの横暴さなど、もしかしたらブラックリストNO.1は米国かも知れません。日本はアメリカ合衆国の52番目の州になった方が救われる…と言われるようですが、何だか情けない話ではあります。
作品名:2002年6 月、Wサッカー開催中の頃 作家名:上野倫五