時計
私は時計
規則的に動き
正確な時を刻み
見るものに真実を伝え
信頼されるべきもの
カチ…カチ…カチ…
私は時計
知りたいと願う全てに
平等に
正確に
時を知らすもの
カチ…カチ…カチ…
私は時計
誰にでも正確に
どんなときでも完璧に
期待に応えるべきもの
カチ………カチ…
私は罪深き時計
不規則に動き
不正確な時を刻み
見るものに偽りを伝え
欺くもの
カチ…カチカチ…
私は罪深き時計
平等であるべきはずが
正確であるべきはずが
信頼されるべきはずが
ただ『 』のために
それを棄てたもの
カチ……カチ…カチ…
私は罪深き時計
すまない私を創りし者よ
すまない私を見る者よ
すまない私を信頼する者よ
カチ・カチ・カチ
すまない過去の私よ
今の私は
胸を張って
あなたの前に立てない
立つことが出来ない
こうでありたいと思った私
誰からも信頼されたいと思った私
誰からの期待にも応えたいと思った私
私はあなたを裏切ってしまった
一番裏切りたくないあなたを
裏切ってしまった
平等であるはずの私が
一番大切なあなたを忘れ
そして裏切ってしまった
あんなにも戦い
傷付き
そして立ち上がったあなたを
私は裏切ってしまった
私は壊れた時計
もうあなたには
信頼される事も
期待に応える事も
償う事さえも出来ない
私は狂った時計
皆を欺き
信頼を裏切り
私を踏みにじった
私は壊れた時計
歯車が欠けたのか
砕けたのか
それとも別なものになったのか
原因はわからない
私はこれからも示すだろう
かりそめの時を
嘘の信頼を
偽りの自分を
あたかも
それが真実のように
これからも
ずっとずっと
示し続けるだろう
私は時計
他のものの道具であり
信頼されることを当然とし
期待に応えるためだけの道具
本当にすまない過去の私よ
私はどう足掻いても
あなたの期待にも
信頼にも
応える事が出来ない
壊れて尚
私は自分ではない『 』のために
他のもののために
偽りの時を刻むだろう