女の歯医者さんだった
部長は最後に
「これでもし、また痛むようなら、神経抜きますから」と言った。よほど抜きたいらしい。
私は恐る恐る、
「先生。もし、今後痛みがないようでしたら、治療は終わりと考えてよろしいでしょうか?」と聞いた。
部長は何か言いたそうな感じだったが、「そうですね」と私を解放してくれた。
自動精算機での支払い金額は一七〇円だった。
今までで一番安い。
部長と女医さん二人がかりで、何かを詰めてくれた割には安過ぎる。
〈何を詰めたのだろう?〉
作品名:女の歯医者さんだった 作家名:ヤブ田玄白