女の歯医者さんだった
まもなくW先生は現れた。
昼休みで、しかも、予約なしの急患なのに、ちっとも迷惑そうな顔をしない。人間が出来ているのだ。
この科は、人間が出来た人が多い。
どういうわけだろう? 部長の影響でないことは確かだと思う。
W先生をはじめ、以前、私の歯を丁寧に掃除してくれた、将来有望な若手のK先生などだ。
そして、今日の受付の女性。
問題があるのは、指に特有の臭いがあった、「干物氏(高校野球補欠クン)」ぐらいだ。
W先生はレントゲンを撮ってくれた。
その結果、虫歯や歯周炎はないし、歯が折れているわけでもなかった。
「歯が薄くなっていますネ。それが原因でしみるのかもしれません。
セメントをつめて、抗生物質の軟膏を塗っておきました。
来週の火曜日まで様子をみて、部長の診察を受けてください」と言った。
作品名:女の歯医者さんだった 作家名:ヤブ田玄白