続・嘘つきな僕ら
「ただいま〜」
「おう、おかえり。なんだよ、飲んできたのか?」
僕は家に帰って、仕事鞄をソファの脇に立て掛けたら、雄一にキスをする。
彼はいつも通りに食事が終わっていて、お風呂に入って着替えてくるのを待っている。
布団に入る前に、僕達は短い話をしたり、お菓子の取り合いをしたりする。そうして今日も笑い合う。
それがちっとも当たり前なんかではない事を、それでもきっと崩れないだろう事を、僕達は知っている。
「おやすみ」
「ん、おやすみ」
彼が僕にキスをくれる。少し強く押し当てられる唇に、彼を感じられる。酔いしれていても、もう不安にはならない。
温かい水の底に、淡い光が降る景色が目の裏に浮かんだ。揺れる水面に揉まれた光はきらきらと輝いていて、楽しげに僕達を覗き込んでいる。柔らかい砂のベッドに身を横たえて、くたびれた体を休ませながら、僕達は眠っていた。
End.