「人間ドック」というところ
パソコンが立ち上がらない!
先々週の土曜日、病院の自室でパソコンの電源を入れたが、システムが立ち上がらなかった。
私も財布を落とすと、しばらく立ち上がれなくなるが、パソコンが立ち上がらないのはよほどのことだ。
すぐに、「パソコンの上司」(仕事では部下だが、パソコンは上司)をつかまえて、
「暇な時、来てみてネ」
と言うと、すぐ来てくれた。暇らしい。
「先生、これはヤバイですネ」と言う。
3年前に同じ機種を3台購入したが、2台はすぐに故障したそうだ。
「先生のも、ついに壊れましたか。安物はダメですネ」
と、嬉しそうに笑っている。
パソコンが壊れるということは、私には、両腕をもぎとられたようなダメージだ。笑い事ではない。
私は、部下を厳しく叱責しようと思ったが、思いとどまった。
パソコンでは彼が上司だからだ。
作品名:「人間ドック」というところ 作家名:ヤブ田玄白