小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

昔はテレビが面白かったような気がする

INDEX|1ページ/106ページ|

次のページ
 

まえがき


 家に猫がいる。
猫を見ていると羨ましくなることがある。

 一日じゅう、よその猫が来ないか、家の中から庭を監視する事を仕事にして、疲れると気に入った場所で休憩する。
一日二回以上は食事をして、時々トイレで用を足し、夜眠くなると寝てしまう。
朝は決まった時間に目覚め、昨日のことは覚えている様子もなく、また同じように一日を過ごす。
毎日の生活に疑問を感じている気配もなく、その日その日をイキイキと暮らしているように見える。
猫になったことがないので、本当のところは分からないが、たぶんそれほど深刻な悩みはないだろう。

 猫が羨ましいと思うのは、毎日を、その場その場限りかもしれないが、充実して生きている姿だ。
私は六十年以上生きてきたが、いつも何かしら悩みがあり、心に引っかかるものがあった。
医者という仕事のせいかもしれない。
私のまわりには、いつも、身体に異常のある患者さんや、身体は丈夫だが性格に異常のある人たちがあふれている。

 私は、患者さんたちの病気と心を癒すことを使命に日々を送ってきた。
しかし、これからは、自分自身を癒すことも必要だろう。
私に書けるのは自分の日常生活しかないが、平凡な毎日の出来事を書いて、皆さまにお聞かせすれば、少しは私自身の気持ちも、あるいはお読みくださった方々の気持も、和むかもしれないと思った。
大それた望みかもしれないが、それが、このシリーズを書き出した秘かな願いである。