大学医局の同窓会に出た
また歯医者に行った
今日が二回目の治療だ。
〈部長は今日、何をしてくれるのだろう?〉
私は期待に胸をふくらませて歯科の診察室へ入った。
部長は余計なことは喋らない人だ。
「どうですか」と聞いてくれたが、私が返事をする前に、口の中に手を突っ込んだ。
「〈仮歯(かりば)〉入れます。」と、今日の治療目的を告げた。
二度目だから、慣れてもよさそうなものだが、私は順応性がないらしい。
高速回転やすりの音が、心地よく響いてこない。歯を削られるのも好きになれない。
部長は、私と違って慣れているが、慣れているのは歯を削るほうだ。削られるのは慣れてないはずだ。
作品名:大学医局の同窓会に出た 作家名:ヤブ田玄白