大学医局の同窓会に出た
パソコンが壊れると、仕事がほとんどできなくなる。
仕事しなくてもいいなら嬉しいが、そういうわけにいかない。
連絡はメールが多いし、あらゆる業務の記録、会議の準備資料や原稿の作成など、パソコンなしには不可能だ。
家族を失うほどではないが、私の大切な親戚が何人か死んだぐらいの痛手だ。(それほどでない親戚なら影響は少ない)。
パソコン画面の英文メッセージから判断すると、致命的なことではなさそうだった。
数年前に、自宅のノートパソコンが、購入後一年たたない時、インターネットマージャンの最中に、
「ジリジリジリーーー」と変な音がして動かなくなったことがある。
ハードディスクが壊れたためだ。
電器店で交換してパソコンは治ったが、重要なデータはすべて失われた。
私はマージャンをやりすぎたせいだろうと、深く反省したが、そういうことではなかったらしい。
失われたデータの中で一番悔しかったのは、新しい治療法のデータや、学会で発表するつもりでまとめた研究論文ではなく、年賀状に使う住所録だった。
今回も、恐れたのは、ここだけの話だが、このエッセイシリーズの数編の原稿など、将来、名作として後世に伝えられる可能性はほとんどないが、自分だけが楽しみにしているものが、失われることだった。
非常に暗い気持で連休を過ごした。
作品名:大学医局の同窓会に出た 作家名:ヤブ田玄白