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久保あおい
久保あおい
novelistID. 69648
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すれ違い

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「すれ違い」

学校の年度が新しくなって
大切な人に会えなくなった
学校のいろんなルールのせいで
毎日のように会ったり ずっと一緒にいたり
お互いを励ますこともできなくなった

変わることは良いことなのに
変わってしまうことに不安があった

私はあなたの存在がどれほど大切だったかを知った
だからあの好きだった時間が恋しくなっていた
そしてどんどん遠い存在になってしまっている気がして怖かった

もう一緒にダンスも歌も共感する話も
出来ないのかなって思ったら気持ちが勝手に落ちていった

どうしても辛かったから
1人で秘密基地へ行った

秘密基地から見える景色はいつもと同じなのに
2人でいるときとは違う景色が見えた

1人で秘密基地に行くと 
最初に見るのは絶対に学校。
学校を見るとなぜか苦しかった

チャイムが鳴った時は秘密基地じゃなくて
違う場所に居るような感覚だった

1人だと ただ広いだけの場所
私が知っている居場所じゃなかった
だからまた自分を傷つけた

たくさんの時間をかけて
必死に自分を傷つける以外のことを探した

でもやっぱり代わりになるものなんて見つからなかった

気持ちを上手く伝えられなくて
楽しそうにしている子を見ると怖くなって
電車で帰ることができなくなった

あれだけ嫌いだった家にいる時間が増えた
無理にSNSを開いて無理やり笑った
偽りの自分しかない毎日
どこかであの時間がまた来るって信じてた

特にやることなんて無いのに
1分1秒が辛くて疲れてた

人の声が怖くなったらずっと音楽を聴いた
人を見るのが怖くなったら空を見てた

痛みも疲れも全部
苦しさや疲れでなくなっていた
そんな時間が多かった

久しぶりにあなたに連絡した
「いつ遊べる?」って

会って行く場所はやっぱり秘密基地
ここしか無いと思っていた

なんかすごく懐かしくて
澄んだ空に
澄んだ風だった

嬉しかった。
楽しかった。
家に帰るのが苦しかった。

帰ってからはずっと連絡を取り合った
会っている時と同じくらいの気持ちでいれた

その日あった出来事だったり 昔の時の話だったり
お互いの気持ちを共感しあった

また前と同じ安心感が戻ってきたと同時に
一生大切にするって決めた


作品名:すれ違い 作家名:久保あおい